9.25.2015

甲府へいってまいりましたよ!

高麗神社
過労死まっしぐら生活にほとほと疲れて、温泉に入ってゆっくりしたい、ということで、温泉に入りに行くことにした。温泉と言っても、さいたまのあちこちにあるような、法律上の分類は温泉ですというような、温泉が湧いたから風呂を作ったのではなく一山当てるために1000mも2000mも掘って汲み上げて温泉とボーリング温泉の区別の付かない連中を集めて風呂に沈めてカネをむしりとるボーリング温泉ではなく、ある程度の風情のある温泉でなければならぬ。ごちゃごちゃした市街地にあってジャスコの改修工事のユンボの音が聞こえるような、あるいは、がやがやとうるさい道路からトラックの音が聞こえてきてそこはかとなくディーゼル排気臭がするような温泉であってはならぬ。また、生活圏から物理的に離れて旅情も味わわねばならぬ。生活圏のボーリング温泉では意味が無い。
というわけで、山梨・甲府へ行くことにした。季節も良くなってきたのでMini Convertibleは常にオープンで、且つ、高速道路を使わず、風景の移り変わりを観察しつつ。
ルートは秩父から雁坂トンネルを経由して甲府である。さいたまから秩父までの道中に高麗神社の看板が見えたから寄った。奈良時代の初期に滅亡した高句麗からの難民だか渡来人だか帰化人だかを埼玉に入植させたことが由来の神社で、主祭神は高句麗王族の高麗若光。高句麗が現在の朝鮮半島と民族的文化的な連続性があるのかよく知らない。あのあたりは滅亡やら侵略やら民族洗浄やらが頻繁に行われた印象があるが、朝鮮半島の歴史は全く知らないので、やはりよくわからない。
以前から高麗神社は行ってみたかったところである。ルートを走っている際にたまたま見かけた。一般道はこのような寄り道ができてよい。

道の駅ちちぶ
299号から秩父に入り、道の駅ちちぶ着。埼玉民だから、名作の誉れ高いから、一つの教養として、と、秩父が舞台となった「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」を見たのはつい先日のことだった。私は大変なイケメンであって、オタクではないので、基本的にアニメは見ない。しかし、エヴァンゲリオンとか、涼宮ハルヒとか、けいおんとか、まどか☆マギカとか、名作であり時代性芸術性まで云々されるものは見ることにしていて、やはり見てみるとそれぞれに魅力があって、ハルヒの叙情とか、けいおんの果てしない平穏にみる病的な閉鎖性などは見る価値がある、見てよかったと思っているので「あの日見た~」も見たのだが、これはひどくて見ていられない…と言いたい―やはり名作とされるAIRに近いものを感じた。AIRもその魅力がさっぱりわからなかった―ところだが濃厚なファン層がいるのでめったなことを言うものでないのは、尾崎豊や長渕剛や矢沢永吉や、あるいは放射能や辺野古や安保と同じである。
秩父を題材にしたものは「草の乱」があるが、こちらの方がよい。しかし、地味かつ誠実な映画で、特別おもしろいものでもない。

道の駅ちちぶ
道の駅ちちぶで朝食というか昼食というか、そばを食べた。秩父と言えばそばが有名である、気がするので、そばを食べよう、とそばを食べたのは、今から15年くらい前の、三菱車に乗っていたころのことである。その時にほとんどカルチャーショックとも言えるくらいなショックを受けたのが、ここ、道の駅ちちぶの、この、しょぼい立ち食いそば店であった。何にショックを受けたかといえば、そばの麺がめちゃんこ固かったのである。コリコリというかポリポリというか、とんこつラーメン店の粉落としよりも固いような、いや、ほとんど茹でてさえいない、ひょっとしたら、茹でないままつゆをかけて提供したのではないかという歯ごたえのそばであって、これが秩父そばなのか!と感心しつつ、自分の物知らずに驚いたのだった。

道の駅ちちぶ
大学を出て働き始めてすぐに三菱車を買った。お金に余裕がなかった。1万円2万円が足りる足りない、車を買ってしまうとガソリン代がない、というような懐具合だった。その、全財産をはたいた三菱車でのドライブで秩父に行き、道の駅ちちぶでそばを、めちゃんこ固いそばを食べたのだった。あのショッキングな固いそばを食べて以降、そばに対して意識を傾けてきたが秩父そばは固いという説を聞いたことはないし、固いそばの話しを聞いたこともないし、そば以外でもあんなにコキコキと固い麺を食べたこともない。唯一無二の体験であった。
あれから15年か20年が経った。社会人1年目にニコニコして三菱車を買った後に2度めのリコール隠しが発覚して腹が立ったこともあった。この数日ではVWのディーゼル・チートが発覚したが、2ヶ月前にVWからBMW Miniに乗り換えた身としては複雑な気分でもあるな、などと思いながら、道の駅ちちぶの天玉そばを食べた。ごくごく普通の、一般的な麺の固さの、どちらかと言えばコシのない、いかにも立ち食いそば店で供されるような、決しておいしくないそばだった。この瞬間になって気づいたのは、秩父そばは麺がめちゃんこ固いということではなく、単に15年前の道の駅ちちぶの立ち食いそばコーナーのおやじが麺を茹で忘れたのだった、ということだった。
普通にまずい立ち食いそばだったことで、15年前のカルチャーショックの記憶を上書きできた。秩父には飲食店はいくらでもある。もっと安いところも、もっとおいしいところもある。しかし、上書きするために、わざわざここに来たのだった。
15年のわだかまりがとけた。固いそばなんてなかったのだ。「秩父そばってめちゃんこ固いよね!」などと知ったかぶりをしないでおいてよかった。



三峯神社駐車場
国道140号線で甲府方面へ。道中、三峯神社が近いので寄った。縁結びやパワースポットとして知られ、埼玉県屈指の神社である。埼玉最深部の大変に山深いところにある。長い長いワインディングロードの先に巨大駐車場があって目玉が飛び出る思いがした。これほどの山奥にこれだけの広さの駐車場を作るとは何ごとか、と。

三峯神社
中世に修験道場となって栄えた、とインターネットに書いてある。それにしてもこの山奥にこの規模の神社は珍しい。今となっては埼玉の最深部であるが、国道140号線が通っているあたりは、かつては甲府盆地と秩父盆地を結ぶ交通の要所でもあったのかもしれない。現在の感覚では山奥で意味不明だが、かつては険しいところであるが故の宗教的な強度もあったろうし、そもそも甲府秩父主要ルートの近くであったのだろう。

三峯神社
三峯神社
拝殿は派手。周辺のハイキングコースと一体となっており、宗教施設が単体でポンとあるだけでないところは高尾山や筑波神社に似ている。山歩き好きにはたまらないかもしれない。
三峯神社
巨木。
三峯神社
秋に来ると紅葉している可能性がある。秋の薄曇りに30mmくらいのレンズを持って再訪したい、そう思った。


ほったらかし温泉
三峯神社から国道140号線に戻り、甲府の方へ。雁坂トンネルを通るのだが、この長いトンネルは1998年の開通で、20世紀末、ノストラダムスの予言で騒いだころまでは甲府秩父間は、自動車で行き来できなかった。甲府秩父間には獣道のような非舗装道路があって、オフロード・バイクで甲府秩父を行き来する冒険が存在したらしいが、本当かどうかは知らない。
雁坂トンネルを抜け、甲府盆地へ。今回の小旅行の目的地、ほったらかし温泉着。景色がよい露天風呂で知られている。山の斜面にある露天温泉で、甲府盆地が見渡せる。山々の向こうに富士山も見える。大変に景色のよい温泉であった。地元民と思われる客の話を盗み聞きしたが、グループAではパチンコ店の女性店員との不倫を微に入り細に入り話しており、グループBではミカちゃんにだまってチカちゃんとチョメチョメしちゃってチカちゃんはかなりよかったという話をしていた。
温泉は「あっちの湯」と「こっちの湯」の二系統あり、別料金であり、景色も別である。あっちとこっちのどちらに入ったか忘れたが、向かって左の方に入った。山梨駅を見下ろすような角度だった。次回は向かって右に入りたい。再訪したい温泉であった。

甲府プリンスホテル
ホテルは甲府プリンスホテルである。プリンスホテルと言えば西武グループの富裕層向けのホテルを思い浮かべるが、恐らく資本関係はないし、西武グループとは宿泊料も桁が一つ少ないし、そもそも西武とは関係がないことは、無能がパッと見て「アッ」と分かるような、そんなホテルであった。

BOSE
Bose SoundLink Mini IIを持って行った。Anthems to the Welkin at Duskを聞きながら新・平家物語を読んだ。後白河法皇を筆頭に鹿ヶ谷で陰謀を練っていた。
最近になってブラックメタルというジャンルを知った。その代表的なアルバムがAnthems to the Welkin at Duskである。インナーサークルの記事を読めばブラックメタルというジャンルがどれだけ狂っているのかわかるが、その代表作を聴くに、表面的な汚さやうるささを脳内濾過すると、その音楽体験は大変にピュアである。聞いていて、とかくに人の世は住みにくい、と、草枕のようなことを思った。
甲府プリンスホテル
甲府プリンスホテル



武田信玄
夕食のため甲府駅周辺を散策。
甲府城址
休みに来たのだから観光疲れはしたくないが、直ぐ近くに甲府城址があると看板に書いてあったから寄った。日が落ちていったが、盆地である、太陽が赤くなる前に山並みの向こうへ消えていった。

牛丼
甲府といえばほうとうだが、ほうとう店は見かけなかったし、みかけるのは喫煙居酒屋風の飲食店ばかりだったし、一人だし、貧乏旅行なので吉野家へ。運動量が減っているので並Aセットである。

甲府駅
甲府駅。20代前半と思われるガラの悪い男数名が駅前にたむろしていた。ぼくちゃんはこわくなって目をそらしましたよ…。
武田信玄
武田信玄。戦国時代にはあまり興味が無い。






甲府プリンスホテル
秒針や空調や他の部屋のドアのきしみ音や外の列車の音がうるさいホテルに戻り、耳栓をしてベッドに入り、Kindleを読みながら19時か20時には寝た。よく寝たなぁ!と起きたら2時だったから、また寝た。

昇仙峡
6時前に起き、ジョギングで武田神社へ行き、ホテルに戻り、宿泊料に込みだった朝食を摂った。白米、味噌汁、納豆、味付け海苔、大根のつけもの、生卵という簡素な朝食だった。同じく宿泊料に込みだった健康ランド無料券は使わなかった。健康ランドには風情がない。
まだ帰るには早いので、甲府付近で一番の目玉であるらしい昇仙峡へ。甲府はのんびりしてごみごみしておらずに割と清潔で、キリスト教会の多い町並みである。その町からすぐの距離で山である。すぐに山があるのはよいことである。
昇仙峡
昇仙峡。風光明媚である。特に交通のためのルートではなく、景観を眺めるために、江戸時代に農民だか商人のおじさんが情熱でこの観光道を切り開いた様子。生涯をかけて、とんかちとノミで岩を切って拓いた、と石碑に書いてあった。
このあたりでEOS Mの電池が切れた。あまり写真を撮る気はなかったので予備電池を持ってこなかった。持ってきた電池の残量も、出発時にはかなり減っていたらしい。少し時間を置いて電圧が回復しても撮れるのはあと数枚であろうから、以後節約。

甲府観光はこれでおしまいである。

栃本関所
さいたまへの復路で、ぜひとも寄っておきたかったのは栃本関所である。埼玉最深部の国道140号線は何本かに枝分かれしていて、主要でない国道沿いに旧関所がある。この幅員6mくらいの道路が国道である。
実際に旧関所建物を見てみるとなんということのない建物であるが、これがよかった。まず、山深さがよい。関所が置かれるくらいであるから、かつてはこの山深い場所ながら秩父甲府間のほとんど唯一のルートだったということであろう。江戸へは武器弾薬の持ち込みを止め、江戸からは人質の女子供を出さないための関所である。入鉄炮出女である。
今でこそ国道が通り便利になったが、20世紀の末までは秩父甲府間は便利な陸路がなかった。特に物流交通の強い需要がなかったのだろう。しかし、近代以前では、秩父は今の秘境のような位置づけとは異なり主要な都市であったし、その主要都市と甲府を結ぶほとんど唯一のルートであった。この栃本関所を見ると、物事の移り変わりを感じることができて、大変よい。こんな山奥にわざわざ道路通したんだね、列島改造おつかれさん、とみなしがちであるが、実際には逆である。もともと地形的にここにしか道をひらけなかった、ここが唯一のルートだった、1000年か1500年くらいの間は主要ルートだったのだ。しかし、時代の方が、物流交通の方が変わってこの数十年で急激に使われなくなったのである。

栃本関所から
山深いところの斜面に集落がある。Amazonの荷物は届くのだろうか。生鮮食品はどこに買いにいくのだろうか。物事の移り変わりを思いながら見れば、しみじみと趣きのある景色であった。

定峰峠
あとはさいたまへ帰るだけであるが、途中、皆野町の温泉「満願の湯」に行った。過労死防止のためである。今回の旅行は温泉に入って心を洗浄し、死期を伸ばすのが目的であった。
滝の見える、景色のよい露天風呂のついた温泉であった。
風呂から出てからの復路では定峰峠を通った。自転車時代によく通った。茶屋の前で会員たちと写真を撮ったことが懐かしく美しく思い出された。白石峠方面は通行止めになっていた。理由は知らないが、警備員がいたので工事だろうか。
雨が降ってきて、これ以降はMiniの屋根を閉めた。

甲府と言えば遠くない。首都高から中央道に行けばすぐである。しかし、一般道で秩父を経由して行った場合、大変によい、満足感の高い旅となった。どこへ行くかではなく、どう行くか、というのも大切であると知った。



昇仙峡駐車場
栃本関所脇
全行程を一般道で走った。復路は嵐山小川で高速に乗るべきだった。帰りの疲れた状態での市街地は苦痛だし、時間もかかる。燃費は一般道ながら18.9km/Lであった。大変優秀である。マニュアル車にもすっかり慣れた。さらに慣れるため、上り坂や下り坂ではブリッピングの練習をした。
Mini Convertibleを中古車として買って以来2ヶ月弱で5000km走った。動力機関は好調である。オープンカーであるが故のネガティブポイントも多々あるが、今のところは屋根が開くことの楽しさのポジティブポイントが優っているし、GOLFやHIJETには感じなかった愛着もある。
屋根が開いた状態で観光地の駐車場にポンと停めておくと大変かわいいし、木陰に置いて温泉に入って戻ってきた時、シートに枯れ葉が落ちていたりすると、それもまた大変によい。
残念なことに、ドアまわりから雨漏りがあって、入院することになったのだが…。修繕費にいくら掛かるか知らないが、仮に5万円かかってもまだポジティブポイントが優っているのは見積もり前の段階でも明らかである。






0 件のコメント:

コメントを投稿