8.26.2015

「百年の孤独」を読みましたよ!

百年の孤独
ガルシア=マルケスの「百年の孤独」を読んだ。「百年の孤独」は、オールタイム・ベスト小説100などの記事があったとしたら、そこに必ず挙がる作品である。超大物小説である。このクラスの作品となると点のつけようがないが、あえて付けるなら星4.6つであろうか。モノホンのシリアス作品であって、即効性のある感動が期待できる娯楽作品ではなく、決して読みやすい類のものではない。


2015-08-12
「マジック・リアリズム」である、とか、登場人物がうじゃうじゃ出てくるのにみんな同じような名前で誰が誰だかわからない、とか、ほとんどの登場人物がアウレリャノかアルカディオって名前じゃないか、とか、何が起きているのか時系列が微妙に飛んだりして何が何だかわからない、とか、何が起きているのかを苦労して読み解いたとしてもまるっきり意味不明である、などの情報に接していたのと、人類を代表する傑作でありながらKindle化されていないどころか文庫化もされておらずハードカバーしか読む手段がないのとで敬遠してきたが、50年前の作品であるのに現在もその出版状況であることを考えれば将来もハードカバーなんだろうな、ということで手軽に読むのを諦めてハードカバーを買ったのだった。ハードカバー本は重くてでかいので嫌いである。資源の無駄である。値段がハードカバーの倍でもいいからKindle化、文庫化してほしい。
どこかで出版社の人がその辺りの事情を話していた記事を読んだことがあるが、日本での海外文学は大変に小さなマーケットであって、翻訳をして出版するだけでも至難である、ハードカバーは高い、文庫にして安くしろ等と言う声ももちろん知っているが、薄利多売をするにはマーケットが小さすぎる、ハードカバーで細々と売るしかない、それでも全然ペイしない、慈善事業とまでは言わないが、商売というよりも情熱でどうにかやっている状態である、ということであった。
2015-08-12
話の内容としては「架空の町マコンド開拓から滅亡までのブエンディア一族の百年」であろうか。
町の開拓者ホセ・アルカディオ・ブエンディアに始まる物語を読み進めていくと確かに前評判通りに登場人物がたくさん出てくるのに名前が似ている上に、みんな親族だから誰が誰だかわからないのだが、大筋では時系列にそって代が下っていくのでその世代で重要な1名2名を捉えていけばよい。ホセ・アルカディオ・ブエンディアとかホセ・アルカディオとかアウレリャノ・ブエンディアとかアウレリャノ・ホセとかアルカディオとかアウレリャノとかホセ・アルカディオ・セグンドとかアウレリャノ・セグンドとか似た名前がすごいことになっているが女性はそれぞれ違う名前なので誰々の旦那とか、誰々の愛人とか、誰々のせがれ、というような把握の仕方もある―女性でもウルスラとかアマランタとかアマランタ・ウルスラなどがいるのだが…―し、もっと乱暴に言えば同じ一族なのでだいたい抱えている問題も似ているから多少の混同があったとしても、どうにかなる。また、女系文化なので、アルカディオとアウリャレノたちの男系とは別系統の価値観も力強く通底している。
2015-08-13
南米風の放逸で自由な空気感が支配しており、加えて「マジック・リアリズム」であるので基本的には何が起きているのか分かりにくいし、分かったとしても「マジック・リアリズム」であるのでその意味は直ちには読み取れない。謎の奇病が起きたり謎の予知能力が表れたり死んだあとも亡霊として普通に生きてたり謎の人物がどこからともなく沸いても「ああそうですか」と受け入れるしかない。
時代的には比較的新しい時代―19世紀後半から20世紀中盤―を描いているようなのだけれども、感覚としてはもっと古い神話、あるいは伝承を読んでいるよう。極端なことを言えば創世記とか。
そのような神話・伝承風の物語を読んでいくと、大江健三郎の「同時代ゲーム」と偶然の類似では説明がつかないほどに似ている場面というか、物語の本質部分に共通した雰囲気があって「あれっ…大江先生…これパク…ったの?」と思ったのだが、これは1960年代にはラテン・アメリカブームというものがあって知識人たるものガルシア=マルケスくらいは読んでいなければならぬ、という不文律があり、且つ、幻想と現実を混ぜちゃって同じ地平にならべちゃう、という手法が日本でも取り入れられていくその先鞭でもあって、日本文学界にも大きな影響を残したとのことであって、つまるところ、雨後のたけのk…いや、インスパイア作品である、とWikipediaを読んで知った(枯木灘なども影響を受けたとか)

2015-08-14
通常、我々が知っている一般的な物語の進行に、神話・伝承の類が大いに混じってくる。例えば「ホセが憲兵隊に射殺された」という一般的な場面があったとしたら「暗闇から兵隊が沸いてきてホセを射殺した。流れでたホセの血は地を這い壁をのぼり売春宿の女達が食事をしているところを申し訳無さそうに通りぬけ、はるかウルスラのところまで辿り着き、その血を見てウルスラはホセの死を悟った」となる(あくまでも例。こういう場面があったような気がするし、なかったような気もする。記憶が定かで無い)。そのように随所に神話・伝承的な想像力が意味不明に差し挟まれて読む人の心を逆なでしたり沸き立たせたりする。そしてそれは一般的に物語が呼び起こす、喜怒哀楽のようなわかりやすい感情ではない。
2015-08-19
序盤、中盤、終盤、隙がなく、生命感あふれる文たちが躍動する。難解な概念や、形而上学的な言い回しはないという点では読みやすいが、前述のとおり、わかりやすい感情を呼び起こしてくれるものではなく、その意味は短期的には読み取れない。読後、半年、1年、5年、10年、100年かけて心の中で消化されたり分解されたり再構築されたりしていくなかで、人生の変更点、分岐点、転換点などを経ていくうちにふとした瞬間にそれらが突き刺さってその意味が身をもってわかる(ことがあるかもしれない)というタイプの物語である。
題名の「孤独」も、本文中にたくさん出てくるのだが、それらは私の知っている孤独ではない。マコンド創設から滅亡までのブエンディア一族の100年を通した孤独の意味は、そう簡単に読めるものではないが、ブエンディア一族の感じた孤独がいつか我が人生にも突き刺さり、その孤独に涙してうずくまるのかもしれない。



4 件のコメント:

  1. たまごあたま2015年8月26日 22:25

    焼酎の話かと思った。

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    1. あるみたいですね、焼酎…。俺ってハードボイルド・ダンディって思いながら飲むんでしょうか…。

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  2. 最後の写真、イイネ!
    この時イケメンさんは、どんな服を着ていたのかな?

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    1. 最後のは夜だったので普通のTシャツに短パンだったような気が致します。
      夏の日中は帽子にアームガードが要りますが、陽が照りつけてる場合は屋根をとじています。

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