2.22.2015

アメリカン・スナイパーを見た


クリント・イーストウッド先生(昔はマッチョ役で44マグナムを撃っていた俳優でもあった)の新作であるし、評価も高かったので「アメリカン・スナイパー」を見にジャスコへと行った。
クリス・カイルという実在するエライ軍人―私でも知っていたくらいには有名―の伝記的な映画であったが、ドンパチを楽しむ娯楽映画ではなく、テーマはアメリカ人の愛国的使命感やら軍人のPTSDである。正直なところ、アメリカ国内の政治的論争や退役軍人の心の破壊などはニュースのヘッドラインくらいでしか知らない。映画はそれらを十分に知っていること、というか、アメリカ人であること、あるいはアメリカ社会に詳しいことが鑑賞の前提にあるので、私のようなトーシロは十分な鑑賞ができない。
映画を巡ってアメリカ国内では右派左派が激しく非難しあっているようだが、映画自体は「有能軍人が戦場のドンパチで心を蝕まれて自国に帰って苦しむ」というシンプルな内容で、そしてフラットな描写である。が、それを見る人がイデオロギッシュに、我田引水的に解釈して顔を真っ赤にして自分と異なる政治的信条の人を口汚く非難する、という人間の最も美しい側面が炙りだされてしまってやはり人間という生き物は大変美しいな、いかにその美しさを覆い隠そうとしても、2時間半のフラットな映画を見るだけでその野蛮な美しい本性が我慢しきれず噴きだしちゃうのだな、と思った。
たいていの軍人トラウマ系の戦争映画を見てもCoD4をやった方が戦場最前線の地獄っぷりを体験できると思っているが、この映画は銃声やら効果音がリアル(な銃声か映画的銃声なのかどうかは知らない)なので映画館で見るとなかなか良い。
映画は娯楽風になっておらず、かといってアートでもなく、カタルシスは得られない。社会派の映画という位置づけになるだろうが、映画はフラットで特に主張はしていない。鑑賞者がどれだけイデオロギッシュな解釈に顔を真っ赤にできるかによって評価が変わるだろう。星3.5つ。

2 件のコメント:

  1. ボクも観ましたよ。
    クリスカイルの自叙伝を読んでいないまま映画だけを鑑賞。
    アメリカで評判が高いのは軍関係者、従軍兵、およびその家族が観るので
    興行成績は高いだろうが、作品としては中の中程度。
    9.11でNYのツインタワーが崩壊して行く様を観て軍への入隊を決めたアメリカ人は多い。
    しかもテキサス人はアメリカでも特殊な州で、連邦法に逆らった州法が多いことでも有名。
    それだけ気骨が太い、自衛精神が強い。
    その辺りのことを理解しているとなぜクリスカイルが軍に入った動機がわかるとおもいます。
    映画の最後で遺体を運ぶ霊柩車を見守る群衆の多さがテキサス人が彼を英雄視していたのだと実感出来ました。
    あの監督のことなので効果音、銃声は本物を使っていると思いますよ。
    ボクは嫌いでは無いけれど2度観ない映画かな。

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    1. Akira先生、宮古おめでとうございます。デザインを拝見しました。かっちょいいですね。

      娯楽映画としては特別おもしろくはないんですよね…。オチとかひねりがなくて淡々と生涯を描くわけですから。
      人々のモノの考え方に南北戦争の名残もあるんでしょうかね。
      サラ・ペイリンやらマイケル・ムーアがいろいろと賑やからしいですけども、アメリカの外側から見るのと内側からみるのとではやっぱり違うのでしょうね。

      私が中学生だったか高校生だった頃、イーストウッドが「許されざる者」で監督兼主演をしていて才能のある人なんだなあ、と思ったのを覚えています。
      それ以来監督作品はできるだけ見るようにしていますが「ミスティック・リバー」が一番好きですね。一般的にはミリオンダラーとかグラン・トリノの方が好かれるのでしょうけど。

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