5.23.2014

願い



(イケメン)はリヒャルト・ワーグナー大先生を崇拝している。尊敬する数多の先生の中でも特に尊敬、崇拝している先生を「大先生」と呼んでいる。私(イケメン)にとっての大先生は10人ほどであろうか。その大先生の中でも1番か2番か3番に入るような大先生がリヒャルト・ワーグナー大先生である。

先日、ニュルンベルクのマイスタージンガーを買った。この演目は苦手演目で映像ソフトを持っていなかったので。苦手と言っても、前回鑑賞はもう10年も15年も前であるし、その一回きりであるから、苦手という評価もあてにならない。むしろ未体験といった方が良いだろう、とREGZA前のイスに座って虚心坦懐に視聴をすると、これが大変よい。大先生の「無限旋律」も円熟しているし、その無限旋律が、海というものが湾の凪から外洋の大しけまでシームレスにつながっているように、自然に、流れるように展開されていく美しさで、脳がとろけるようである。
2014-05-21
ディスクは2008年バイロイト音楽祭のもので、演出は難解の極み。私(イケメン)程度の知性ではまるで歯がたたない。というのも、バイロイトというのは観客に対して容赦がないところで。バイロイトに来るくらいだから作品をよく知っていること、歌詞の暗記くらいは当然だし、作品だけでなく演劇史、音楽史、美術史、世界史、思想史くらいは当然の知識として要求される。
このバイロイトの演出では極度に「読み替え」が行われていて、大先生直筆の演出とは似ても似つかない。時代設定や場所を変更する―神話的な深い森から原子炉建屋に変更するとか、騎士を会社員にするとか―程度の「読み替え」はよくあることだが、このマイスタージンガーはそれにとどまらず、もっと踏み込んで「読み替え」ている。
本来は、優れた人柄と知性で滋味あふれる役柄のザックスであるが、この演出では左翼ゴロか人権派弁護士にしか見えない。ヴァルターにしてもチンピラくずれとも呼べないようなわけのわかんない男だし、エファなんて存在しているのかしていないのかわからないくらいで、ベックメッサーが一番まともにみえるなど、役柄や話の全体的な印象までいじってきている。そして西洋の偉人らしき風刺マスクやら、空から降ってくる靴やら、ウォーホルで有名な「Campbellのスープ缶」といったあからさまな小道具でいちいち暗示されたり明示される解けない知的パズル。さすがバイロイト、さっぱりわけがわからない。バイロイトでもこの演出は特別に難解。
歌詞と音楽は大先生オリジナルだが、舞台上は全くの別モノ、というか、舞台上はほとんどマイスタージンガーでない、といったほうがいい。別の劇を同時進行で見ている感じ。音楽と歌詞はマイスタージンガーそのものであるが、舞台上はマイスタージンガーでない、あなたが見ているものはあなたが見ているものではない、というその二重性ももちろん演出のうちではあるのだけれども…。

と、思いつつ、ディスクを見進めているところであるが、やはり私(イケメン)もいつかはバイロイト音楽祭に行きたいと思っている。狭くて座り心地の悪いイスに座りたいと思っている。空調がない蒸し風呂状態の劇場で汗を垂らしながら観劇したいと思っている。アルコールはやめたが、もし今後飲むことがあるとすれば、バイロイトの幕間にワインを一杯と、IRONMAN Hawaii完走後にビールを1リットルであろう。そういう時が来ればいいのに、という夢想上の話だが。というのも「行きたいから行ってくるか」という気軽なものでない。
  • チケット入手が困難。待ち時間は7年とも10年とも言われる。
  • バイロイト劇場はタキシード(or 袴)推奨のフォーマルな場所。加えてあちらの世界はガチガチのカップル文化。ポロシャツにチノパンで一人ぷらっと行く、というところでない
チケット入手は困難であるが、不可能ではない。しかし、カップル文化だけはどうにも…。同様にバリ島のビーチリゾートでのんびり、という願いもまた…一人で行くわけにはいかないので…。本当に願っていることがかないそうにないと思うと、日々がつらい。








ばかやろう、あんな美人でしかも賢い人が、俺みたいなやくざな能無しの男を、おめえ、どうこう思うわけねえじゃねえか。――寅次郎あじさいの恋――


つらい。


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2 件のコメント:

  1. バイロイト、ベームの「トリスタンとイゾルテ」、どうですか?ずっと欲しいと思いながら…(-.-;)

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    1. 1966年?67年?のベーム版ですかね。映像は見たことないですが、CDが棚にありました。いくつかトリスタンは聞いていますが、そのなかでも特にいいです。咳とかクシャミのノイズがちょっと多めですが。
      バイロイト黄金期らしいですね、この頃が。歌手陣も豪華でパワフルです。発火しちゃうような熱い熱い愛ですよ!

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